カタカナ地形・構造物名称の基礎知識

銀河

アーコロジー、ゲットー、ダイソンスフィア…創作物などで目にするものの、実際にどういうものがいまいち分からない人も多いであろうカタカナの地形・構造物の用語を簡単に解説します。

目次(クリックで開閉)
  1. アーコロジー(英:arcology)
  2. ヴォイド(英:void)
  3. エキュメノポリス(英:ecumenopolis)
  4. グレートウォール(英:The Great Wall)
  5. ゲート(英:gate)
  6. ゲートウェイ(英:gateway)
  7. ゲットー(英:ghetto)
  8. コロニー(英:colony)
  9. サイエンスネクサス(英:science nexus)
  10. シナゴーグ(英:synagogue)
  11. スパイア(英:spire)
  12. スフィア(英:sphere)
  13. スペースコロニー(英:space colony)
  14. セントリーアレイ(英:sentry array)
  15. ダイソンスフィア(英:dyson sphere)
  16. バイオスフィア(英:biosphere)
  17. ハイパーレーン(英:hyperlane)
  18. バリアリーフ(英:barrier reef)
  19. プラント(英:plant)
  20. ブルーホール(英:blue hole)
  21. プレーン(英:plane)
  22. ボルト(英:vault)
  23. メガフロート(英:Mega-Float)
  24. ランダバウト(英:roundabout)
  25. リングワールド(英:ringworld)
  26. ワームホール(英:wormhole)
  27. 銀河フィラメント(英:galaxy filaments)

この記事は当ブログの下記記事「架空地名メーカー」に関連する記事として作成されていますが、単体の独立した記事としてお読み頂けます。



アーコロジー(英:arcology)

住居だけでなく産業から教育、行政に至るまでのあらゆる都市機能を一つの建築物内に集約した巨大構造物。
作品世界に拠るが数万人から数十万人が生活するため高さだけでも1000mを優に超えるビル型やピラミッド型が多く見受けられる。
居住者はそこから一歩も外に出る事がなく一生を終える事も出来る。
当然ながら建築には莫大な費用と高度な技術が必要なため、それを構築した巨大企業の強い影響下にある、もしくは事実上統治されている場合も多い。
20世紀前半にその概念が萌芽し、同世紀を通じて多くのSF作品で主要なイメージが構築されていった。
オフィスや商業施設、ジム、医院などを備え、その気になれば建物からほとんど出ることなく長期に生活できる現代のタワーマンションはある意味アーコロジーのプロトタイプとも言える。

ヴォイド(英:void)

またはボイド。
銀河の全く存在しない空白領域の事。
宇宙において銀河は均質に分布しているのではなく密集して泡の膜状に広がっている事が観測されており、その泡の空気に当たる部分には銀河が全く存在しない領域が広がっていて、それがヴォイド(超空洞)と呼ばれる。
その構造は巨大で直径が数億光年に渡っている。

エキュメノポリス(英:ecumenopolis)

超高層建築物によって惑星の地表が覆いつくされた都市型惑星の事。
ある意味アーコロジーを惑星レベルに極大化した構造物とも言える。
スターウォーズシリーズを通じての首都星コルサントが最も有名であろう。
概ね高層階に住める人物ほど富と権力を握っているが、最下層については日の光も届かず犯罪と悪徳が横行するスラム化している場合と、居住しているのは低収入層ではあっても環境も治安も一定には行き届いた地域である場合とに作品世界によって分かれる。
20世紀半ばにこの概念を提唱したコンスタンティノス・ドキシアディスによれば、既に地球のエキュメノポリス化は始まっているとされる。

グレートウォール(英:The Great Wall)

幅約3億光年、長さ5億光年以上、厚さは約1500万光年のの壁状に銀河が密集した領域。
ダークマターの影響によって形成されたと考えられている。
2019年現在、人類が知る単体としては最も巨大な宇宙構造の一つ。
なお長さについては星間ガスや星間塵の影響で最終的にどこまで続いているのか正確には判明していない。
名称の由来はそのまま中国の万里の長城の英名である。
本来的な意味でのグレートウォールは地球から約二億光年離れた場所に存在する構造の固有名詞であるが、観測が進み同様の構造が数多く発見されているため一般名詞として用いられつつある。

ゲート(英:gate)

ゲートウェイに同じ。

ゲートウェイ(英:gateway)

出入り口の事だが、SF用語としては時空のある地点とある地点を結ぶ限定されたワープ空間と通常空間を行き来できる出入り口の事を特に指す。
フレデリック・ポールのSF小説、ゲイトウエイに由来する。

ゲットー(英:ghetto)

元は中世ヨーロッパでユダヤ人が居住を強制された地区を指す言葉。
転じて、低所得の少数民族が住む地域を指したり、民族には関係なく貧困層の住むスラムとほぼ同義で用いられる事が多い。

コロニー(英:colony)

スペースコロニーに同じ。

サイエンスネクサス(英:science nexus)

宇宙空間に建設される科学研究の一大拠点。
SFストラテジーゲーム、Stellarisに登場する。

シナゴーグ(英:synagogue)

ユダヤ教の会堂。
キリスト教の教会の元型であるが、各種の文化活動や集会も行われるなど地域のいわゆる公民館的な役割がより強い。

スパイア(英:spire)

尖塔の意味。

スフィア(英:sphere)

球、球体、天体などの意味。
転じて、圏、領域なども指す。

スペースコロニー(英:space colony)

宇宙空間に建設される人工居住地。
シリンダー型、シリンダー型を元にした密閉型、バナール球型、小惑星を利用したタイプなど種々の形状が提案されている。
日本でスペースコロニーと聞いて多くの人が陸地と窓が交互し巨大なミラーで太陽光を取り入れるシリンダー型を思い浮かべると思われるが、言うまでもなくこれは機動戦士ガンダムシリーズの影響が非常に大きい。
なお欧米ではコロニーと言う単語は植民地支配に関連付けられあまり良いイメージがないため、スペースハビタット(英:Space Habitat)やスペースセツルメント(英:Space Settlement)と呼称される事の方が多い。

セントリーアレイ(英:sentry array)

銀河の全域を観測できる巨大観測ステーション。
SFストラテジーゲーム、Stellarisに登場する。

ダイソンスフィア(英:dyson sphere)

ダイソン球とも。
恒星全体を殻のように覆い、発せられる全てもしくはほとんどの熱や光をエネルギーとして利用する巨大なエネルギー生産構造体。
1960年に物理学者フリーマン・ダイソンによって提唱され、名称も彼に由来する。
以降多くのSF作品に登場している。

バイオスフィア(英:biosphere)

直訳すれば生存圏の事であるが、ここでは巨大な密閉空間の中に人工的に生態系を再現した実験的施設の事を指す。
宇宙や他の惑星への進出の初期段階における限られた閉鎖空間での生態系の維持、その内部で生活する人間へのストレスや心理的変化の観察などを目的とする。
現実にはバイオスフィア2(Biosphere2)としてアメリカのアリゾナ州に巨費を投じて構築され1990年代初頭に完成したが、想定されていなかった数多くの問題が発生し実験は頓挫している。
施設自体は運営者や所有者を変えながらも現存しており、有料で公開されている。

ハイパーレーン(英:hyperlane)

時空のある地点とある地点を結ぶ、光速を超えて移動が可能になる限定されたワープ空間。
SF作品、特にスペースオペラの分野において超光速航法が場所を選ばず野放図に出来てしまうと整合性が取りにくくなるため、宇宙に何らかの作用により出来た抜け道でのみそれが可能となり、登場人物たちは道を選択するようにそれを利用するしかないという状況が作り出された。
その抜け道がハイパーレーンなどと呼ばれる。
ハイパーレーンと通常空間を結ぶのがゲートウェイなどである。

バリアリーフ(英:barrier reef)

沖合いにサンゴ礁が発達し、海岸沿いを波から守る天然の消波堤のようになっている地形。
波が穏やかなため多様な生物が繁栄しやすい。
オーストラリアのグレートバリアリーフなどが知られている。

プラント(英:plant)

生産設備や、大型機械などを指す。
スペースコロニーのような巨大施設に付随するがそれ自体は独立した農業施設や工業施設などの事も指す。

ブルーホール(英:blue hole)

洞窟や鍾乳洞だった地形が、地盤の沈降または海面の上昇などにより海中へ没し、浅瀬に穴が開いたように見える地形。
そこだけ周囲より深いために色が濃く見えるのでブルーホール(青い穴)の名称が付いた。
深いものはベテランダイバーの憧れのダイビングスポットだが、死亡事故も起こる危険な場所でもある。

プレーン(英:plane)

平面、平坦な、(結晶体の)面などの意味。
多元世界を採用しているファンタジーなどではプライムマテリアルプレーン(主物質界)のようにその中の一つの次元を指す単語として用いられる。

ボルト(英:vault)

金庫室や貴重品保管庫の意味。
ポストアポカリプスRPG、Falloutでは地下核シェルターの一種として用いられる。

メガフロート(英:Mega-Float)

海上に固定して浮かべる巨大な浮体式構造物の事。
環境的に大きな影響のある埋め立てに代わる海上空港などの敷設方式として考案された。
なお、技術的には可能なものの種々の問題により現在においては小規模な利用に留まっている。
メガフロートは造語であり、英語ではVLFSs(Very large floating structures)やVLFPs(Very large floating platforms)と呼ばれる。

ランダバウト(英:roundabout)

ラウンダバウト、ラウンドアバウトなどとも。
ヨーロッパに多く見られる信号や一時停止義務のない環状交差点の事。
交通がスムーズになる、中央に出来るスペースを緑地化して景観の美化が期待出来るなどの利点があるとされ、近年日本でも導入が始まりつつある。

リングワールド(英:ringworld)

恒星を中心にハビタブルゾーンにわっか状に構築される巨大な人工天体。
ラリー・ニーヴンのSF小説シリーズ、ノウンスペースで登場して以来、派生型などもいくつものSF作品で取り上げられている。

ワームホール(英:wormhole)

時空のある地点から別の離れた地点へと直結するトンネルのような抜け道。
多くのSF作品で超光速航法を実現させるための概念として採用されている。

銀河フィラメント(英:galaxy filaments)

超銀河団Complexとも。
宇宙では銀河は密集して存在する領域と、ほとんどあるいはまったく存在しない領域に明確に分かれて分布しており、ヴォイドと呼ばれる空白領域を囲む、泡の膜状の銀河の巨大な連なりが銀河フィラメントである。
銀河フィラメントは多数の超銀河団で構成されており、その超銀河団は多数の銀河団や銀河群で構成されており、銀河団や銀河群もまた多数の銀河で構成されて…と途方もない規模の構造。
グレートウォールも銀河フィラメントの一種となる。